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2018.03.12

育児中

女性全般

天気と頭痛

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「天気が崩れそうになると、頭が痛くなるんです」
「台風が近づいてくると、頭痛がしてきます」
「梅雨時は、頭の調子が悪くなって困ります」

長いあいだ脳神経外科の外来診察をしていると、こういった、天気と頭痛を関連させた訴えによく遭遇します。くわしく話を聞いてみると、それぞれの患者さんで違いはありますが、気圧、気温、湿度などの気象状況の変化が頭痛の誘因になっている様子がわかります。

よくある頭痛として、片頭痛と緊張型頭痛がありますが、特に片頭痛の患者さんでは、気圧が低下するとき、つまり低気圧や台風が近づくような、天気が下り坂のときに調子が悪くなる方が多いようです。
このタイプの頭痛では、頭の片側が(なかには両側の人もいます)、ズキズキと拍動するように、かなり強く痛みます。光や音に敏感になり、体動で痛みが悪化することが多いので、暗く静かなところでじっと横になって過ごさざるをえなくなります。また、嘔気、嘔吐を伴うこともしばしばあるので、とてもやっかいな頭痛です。またこのタイプの頭痛には、一般的な鎮痛剤は効かず、片頭痛用の特別な薬だけが有効であることがよくあります。

もうひとつの緊張型頭痛は、いわゆる肩こり頭痛、ストレス頭痛とも呼ばれ、肩、首、肩甲骨のまわりなどの筋肉のこりや緊張を伴い、典型的には頭がギューッと締め付けられるような痛みが起こります。嘔気を伴うことは少ないですが、慢性的に毎日のように起こることも多く、これもなかなかやっかいな頭痛です。このタイプの頭痛も、やはり天気が崩れるとき、あるいは急に気温が下がったときなどに発症することが多いようです。

頭痛持ちの人は、天気予報図の低気圧や前線を見て、ややもするとブルーな気分になりがちだと思いますが、悪いことばかりではありません。頭痛の発症を予測できれば、忘れずに薬を持って外出したり、場合によっては早めに薬を服用したりできますし、あらかじめ体調やスケジュールを整えて頭痛の予防を図ることができるからです。

一般的な頭痛の予防法としては、規則正しい生活、偏らない食事、質の良い睡眠、ストレスフリーの生活、正しい姿勢、適度の運動などがあります。なかでも特に、短時間でできる簡単なストレッチや体操(頭痛体操など)で首まわりの筋肉をほぐすことが、緊張型頭痛の緩和にはもちろん、片頭痛の予防にも効果があるといわれています。

最近では、大気圧の変化をもとにして、頭痛の注意報や警報を出してくれる無料アプリも開発されていますし、日本頭痛学会のホームページなどでは、いろいろな頭痛の詳しい説明や、頭痛体操をはじめとした多くの有用な情報を簡単に手に入れることができます。そういった意味では、患者さん自身でも頭痛にある程度うまく対処することができる世の中になってきました。

しかしそれでも頭痛の悩みが解決できない方は、いちど頭痛外来のドアをノックされてはいかがでしょう。頭痛外来では、実際に患者さんに詳しく話を聴き、神経学的診察をおこない、場合によってはMRIなどの検査をしたうえで、必要ならば最適の薬を処方して、さらによりよい頭痛対策を練ることができます。
天気は変えられませんが、賢く頭痛に対処することは可能なのです。

 

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